2020年6月6日土曜日

感応と官能とAIと。

4月に社内に新部門設立したが、在宅勤務で奮闘中。転勤者の引越しも延期で未だ東京事務所に全員が集合できず、コロナが恨めしい。

友人の会社も、人事異動や新入社員の受け入れ変更で大変そうだ。新人の娘も在宅継続で、業務もないのに給料だけは頂戴して、正直申し訳ない。

企業は、ニュースタンダード・新常態を検討。雇用、清潔、在宅勤務、勤怠管理、マネジメント、販促対応、事務所の在り方など課題は多い。

一方、在宅勤務では出来ないこともある。弊社だと、コールセンターは在宅では不可能。加えて、化粧品の開発、品管は、色・匂い・感触など商品に触れての打ち合わせが多い。これは画面越しのリモート会議では不可能だ。

物づくりで、感触や香りの確認をすることを「官能検査」という。食品や製品には欠かせない基本的な検査で、人間の五感で品質特性を調べる。最後は人間の感覚に頼るのだ。

勿論、処方、安定・安全などは科学的な分析だが、テイストや感触の評価は人間しか出来ない。「感性」鋭い人が「官能試験」で「感応」することが最重要。製品以外、恋愛も友人も選ぶ決め手は「互いが感応」しなければ話にならない。


血が通う人間ならどうする?



急速に進化するIT(情報技術)とAI(人工知能)業界。ITで分析しAIで的確な対策を得る時代だが、それだけでヒット商品が生まれ、市場を圧巻できるなら苦労しない。

AIの神様・北大の川村教授と話すと、何をどう活用するかの明確化と、データ自体の重要性がよく分かる。何となく良さげだから導入!は最悪だ。

米国の会社で、AIでの採用活動を試みたが上手くいかなかった。過去の採用データをAIに学ばせ、採用を判断させたところ、何と過去の人種差別の傾向を学んでしまって「過去の白人偏重採用」の出現に経営層は驚き、導入を諦めた。活用の危うさを思い知る事例だ。


先頃、漫画の神様・手塚治虫の作品をAIに学ばせ、手塚治虫の発想・構成・登場人物を徹底的に学習させ、人間とAIの共作漫画が話題となった。近未来の東京を舞台にした管理社会に挑むホームレスの哲学者「ぱいどん」の事件解決の物語。

手塚治虫にどこまで迫るか見ものである。この作品の近未来とは「鉄腕アトム」が誕生した2030年と同じ設定なのだ。AIと人間の仕込みは、実は心にくいのだ。

今後、経営の神様から、営業の神様、学者の神様など、あらゆる分野の神様から学んだ「天才AI」が、社会にどう反映されていくのか。

天才の替えはない。ゴッホの絵はゴッホしか描けず、松下幸之助も唯一無二。だから徒弟制度は、師匠に近づくため傍らを離れず五感で学び、盗み、精進し自分流に昇華させる。

人間の学習能力は、ITとAIには到底かなわない。だからこそ、活用の設計図は我々人間が描くのだ。そして「官能検査」で五感が感応するまで昇華させて、AIに血を通わせるのだ。

お茶の水博士を目指す!