先日の大阪出張で今更ながら思うことに、駅などのエスカレーターで立つ側と追い抜く側が、東京と大阪では左右逆になる。何故なのか、いつからか?気になる。
「左立ち右歩き」の関東のマナーは、右側追い抜き車線の「交通ルール」から発生したらしい。しかしグローバルスタンダードは、関西の「右立ち左歩き」の方だ。阪急電鉄が、右利きの方が手すりを持つ「右立ち」を呼びかけたのが始まりで、その3年後の1970年「大阪万博」で、外国人にも共通する「右立左歩」提唱で定着していったようだ。
合理的に考えると関西圏の方が正しいようだが、関東圏の交通ルールもよく分かる。さて、どちらが正しいのか。はたして東西統一できないものかと考えてしまう。
しかし、正解は「エスカレーターは歩かない」なのだ。傾斜30度の階段を機械化して動くのだから、本来危険なので「左右両立ち」なのだ。決して駆け上がるものではない。
それに故障の原因に片側だけの重量負担があると聞く。名古屋なども両側立ちに取り組んでいるが、まだまだ何かと忙しい庶民に浸透しないのが現状である。
エスカレーターの目的を正しく「混乱せず移動」とすれば両側立ちが自然な使い方。ところが、せっかち者が「素早く移動」に変えるとエスカレーターは駆け上がる手段になる。
何を進めるにも「目的」と「手段」の決めは重要である。目的が統一されなければ、手段は勝手に変化する。仕事でも「手段を成す」が目的化して、手段の課題と対策などと追いかけるうちに、目的が曖昧になり成果が得られず、のケースは多い。
通勤ラッシュのエスカレーター。歩く側にじっと立つご老人の後ろで、イラッとしている若い方。乗換の駅で一斉に電車から降りる場面で、私は降りないと抵抗する方、それをイラッとして押しながら降りる方、横柄に足を投げ出す座席の方、私も含め皆イラッとしてしまう。これ、健康によくない。
やはり朝からイラッとしないで、車や電車、バスに乗りたいものだ。目的は仕事、勉強、遊びの場所で活動すること。そこへの移動は手段である。通勤・通学の朝一番のしかめっ面は、目的の「その日の活動」の充実に大いなる支障をきたす。
そこで、1973年【昭和48年】交通安全標語募集で、総理大臣賞に輝いた話題の標語を紹介したい。大阪万博後、爆発的に急増した交通事故・死亡事故時代の背景に生まれた作品であるが今でも心に迫るものがある。
「せまい日本 そんなに急いでどこへ行く」
自戒を込めて呟いてみると、言い得て妙である。
しかめっ面を解凍し、ふと肩の荷を降ろし、たまには立ち止まる。
そう「急いては事を仕損じる」だ。
皆、渋面・疲れ気味? |