2020年2月20日木曜日

のど元過ぎれば(前編)

情けないが、また糖尿病の薬を飲んでいる。おまけに種類も増えた。克服を自慢していたのに、恥ずかしい限りだ。友人への警鐘と自戒も込めて、顛末を書き記すことにした。

12年前の東北時代のことだ。数週間前から体がだるくて、押印する印鑑まで重く感じる。おまけに夜中に3回はトイレに起き、90Kの体重も減少し異常にのどが渇く。

これは尋常でないと町医者の門をたたいた。採血の結果を聞きに行くと、医者がどこかに電話している。「重症の糖尿病患者です。空きは?はい、即入院させます」誰のことかと思っていると、先生が「今の電話は貴方です」「えっ」と驚く私に「異常な血糖値です。いつ倒れてもおかしくない。直ぐ入院」と言われた。

突然で理解不能。それに予定もある。「先生、幹部人事の発令があるので、翌週では?」先生は「何を言ってますか!遅れたら貴方が交代人事ですよ!」…かくして私は緊急入院。

後で知るのだが、過食ですい臓がオーバーヒートし栄養を取り込むインスリンが出ない。吸収されない血中の栄養(糖)を尿で出すため、脱水状態で喉が渇く、栄養が取れず体内脂肪を燃やすため体重が落ちる、の悪魔のサイクルだったのだ。

入院は3週間に及んだ。検査、治療に加え、1日4回のインスリン注射。これは、すい臓を完全休眠させ回復を期待、ダメなら一生注射。2週間目、奇跡的にすい臓が回復し始め、インスリン注射が最小単位の時点で、退院となった。

「今のカロリーに必要なインスリンは、近々自力ですい臓から出ます。只、その時は注射分が過剰になり、低血糖症状が現れます」これは、動悸、めまい、多汗など、それぞれだが、必ず訪れるので飴か砂糖を携帯しろという。

退院3日後、それはホテルの取引先パーティで訪れた。私はメーカー代表の挨拶と乾杯の音頭。主催の社長挨拶のあとなので、トイレでインスリンを注射。直ぐ出番のつもりが、社長の挨拶が終わらない。そのうち脂汗が出て立っていられない。低血糖だ。部下に「すぐスティックシュガーを2本持ってこい。合成甘味料はだめだぞ」因みに部下は佐藤さん。

慌てて3g×2本を水で流し込む。幸い即効で糖が巡り、すうっと楽になり、ご挨拶を全うできた。事情を知らない社長は私の挨拶を絶賛したが、当の私は冷や汗ものだった。

奇跡の生還なのに・・


結局、17K減量と治療とで劇的に回復、退院後暫くして治療も薬も不要になり、高脂血症、高血圧も並行して解消した。大げさだが九死に一生を得た思いであった。

それから10年あまり、家内の食事と自己管理で正常値が続いた。ところが一大事、81K級で高校入りの息子に、柔道部の監督から100K階級への増量要請で事態は急変。我が家は増量作戦用の高カロリー・高たんぱくメニューに一変したのだ。


そういえば、ナースから2型糖尿病の患者さんを、陰で「おバカさん」と呼ぶらしい。飽食の果てに入院し、退院後また食べて再入院が多いのだ。まさに、おバカさんである。

さて、私の「おバカさん」ぶりは次回へと続く。


2020年2月4日火曜日

ひとつをねがいひとつをしとげ

息子の大学の授業料を払い込んだ。娘は就職だが、オヤジは当面ラク出来ない。新設柔道部に燃える息子に望むのは、大学での学びを通して将来の自己設計図を描くことだ。勿論、柔道部が活躍するのは最重要だが、それだけではつぶしが効かないと案じてしまう。

親としては、柔道に没頭すると共に「自分はこうなりたい」に向けた不断の努力と、上手く立ち回る狡猾さまで求めたくなるものだ。

反面、漠然と企業に入り、そつなく生きた自分より、迷いも打算もなく「今を貫く」だけの猪突猛進の危うさも面白い。

困窮した生活より安定した生活、と言うが、一体、何を基準の安定かは千差万別だ。裕福でないが、学生から音楽一筋で今も活動中の友をみると、そもそも安定と幸せの価値観が違う。好きな道を突き進む人生も素敵だと羨ましくもある。

はなをさかせよ よいみをむすべ


繰り返すが、墓の下に地位や資産は持っていけない。「生きる間の充実感」が人生ならば、可能性を摘むような世馴れた口出しは、余計なお世話かもしれない。

願うのは、中途半端に妥協した満足より、悔いなき生き方。その為に、5つに大別した目的別な時間を使いたいものだ。 

①時間を仕事に使い「成功」を導き、②思考に使い「力」を養い、③遊びに使い「若さ」を保ち、④読書に使い「知恵」を深め、⑤友人と使い「幸福」に至れの5つ。

それぞれの使い方に一点の曇りなく過ごしたならば、悔いなど残らない。息子は、春から一人住まいで母親の庇護から脱却する。今までの柔道一直線は、家族のお陰と思い知れ。娘の方は、安定企業を選択し、資格取得の時間を作る算段らしいが、先ずは仕事にのめり込め。

未熟な二人が、日々に追われ現実の厳しさに直面しながら、足元のロービームの先に何が見えるか見えないか、そして、どうするかは本人次第。

「明日ある我が身を想い、今日を生きる」・・やはり坂村真民の「七字のうた」だ。
子どもたちには「またか」だが、ついでに期限付お助けカードも添付するから。

【本当に困った時は、力になる!】…(但しハイビーム視点の相談に限る)

先みて今を楽しめ!