一昨年から仕事で台湾に行く機会が増えて、多くのお取引先様の方々と知り合えた。
皆さん、素晴らしい企業と素敵な人ばかりで、とても良好なお付き合いを築けている。
台湾には日本語が堪能な人が多く、仕事以外でも食事(台湾での小龍包は絶品)や買い物など不便をまったく感じない。加えて、ありがたいことに親日家の方が多く、皆さん親切で、とても居心地がいい。
仕事の話で恐縮だが、当社で提供させていただいているファミリーマート様専用メイクシリーズ「mfc」が、昨年11月に台湾ファミリーマート様で一斉展開することが出来た。
日本国内では、10年以上にわたりファミリーマート様に「mfc」を育てていただき、お客様も定着し、支持していただいてきた。そのことを既にご存じの台湾ファミリーマート様が「mfc」に興味をお持ちということも幸いして、台湾進出が進み始めた。
2年以上前から社内の調整や、商標問題、薬事等いろいろ確認しはじめ、解決すべき課題も多く、一時は実現困難か、と危惧したこともあった。しかしスタッフの努力のお蔭で、少しずつ課題を解決し、ようやく台湾の店頭に並べ、お客様の手に渡るまでに至った。
思えば全ての方の「mfc」を愛する心が結集して、ここまでたどり着いた感じである。
「 執念あるものは 可能性から 発想し
執念なきものは 困難から 発想する 」
私・田辺の机上に貼ってあるこの言葉を、念仏のように唱えながら、社員には「障害とは、越えられない壁ではなく、少し高いハードルと思え」と、言い聞かせてここまでこぎつけた。
「出来ない病」を克服する
「出来ない」とか「困難」という言葉は、口に出した瞬間、病原菌のように周囲に蔓延する恐ろしい病である。これは簡単に治療できない。なぜなら自分が原因で「出来ない病」を引き起こしているので、特効薬は、成功したとか、成し遂げたという自分自身で処方する薬でしかないからである。それは、プロセスにおいて、あきらめずに可能性を追求する姿勢であることが前提であることは言うまでもない。
一般的に「ポジティブシンキング」とか、「前向き思考」などと言われるが、本人が本気でそう思わななければ意味がない。本気になるためには、弱い自分を「改造」しなければならない。
そのコツは、普段からの些細なことでも、物事を判断する概念を変えていくことである。
私の場合は、大きな判断を迫られたとき「命までは取られない」と思うことから始める。
仕事の場合、私も周囲も「命に係わる重要事項」は滅多にない。勿論リスクはある。
それが致命的になるかどうかを見極めるのだ。そして、「やる」と決めたら「これで死ぬことはない」と言い聞かせる。
普通は、そんな選択の連続ではない。普段の心構えは、いつも成功する理想の姿を描いて、そこまでの過程の在り方の理想像を追いかけることだ。暗礁に乗り上げたら、当然方法も変わってくるが、その際も、それが「ベストな方法」だと、理想像に置き換える。
挫折して引いた案なのでなく、前向きに捉えて、これが「最上の選択」と、思い浮かべる癖をつけることだ。そして、絶えずチェックするのは、この選択が後々の次世代の方が困らない、という自信を持てることである。
商談でNOと言われない方法
商談の会話では、先様に「YES」「NO」を絶対に聞かない。尋ねるからNOが出てくる。「やりますか」「やりませんか」と聞いて「やらない」と言われたら、商談はそこで終わりになってしまう。
そうではなくて、仮説の話を進めていく。例えば、「YES」「やる」とすれば「A案」ですか「B案」ですか? と。「YES」「やる」となれば深めていくと課題や障害を聞き出せたり、浮き彫りになったりする。そして課題を克服し、障害を取り除いたうえで「A」と「B」のどちらですか? と進めていくのである。
この手法は、どうしても会いたい方にお目にかかる、お誘いする場合にも有効かと思う。
「来週の金曜日、〇〇でお会いできませんか」と誘ったとしよう。
先方は、こちらにあまり興味がなく、どうしようかと考えて取りあえず、
「行けたら、行くわ。また返事します」
それに対して、
「お越しいただけるようなら、お出でください。お待ちしています」
これでは十中八九来てくれない。
そこで何とか食い下がる。
「ご都合は午前、午後、どちらがよろしいですか」
先方はこの言葉で初めて来週の金曜日のスケジュールを思い浮かべる。
「午前中は用事があるし、午後なら時間が取れるかもしれない」
すかさず、「午後だとしたら、昼過ぎですか、夕方ですか」と。
「まあ、行けるとしたら夕方かな……」
「有難うございます。それでは夕方〇時にお席を整えます。心よりお待ちしております」
そう簡単に事は運ばないかもしれないが、このやりとり、会話は今できる最上の方法かと思う。「行けたら」から「行く」への変化を促し、その成功度は確実にアップするはずだ。結果は分からないが、どうしてもお会いしたい、という気持ちを伝えることが大事で、たとえ断られても納得がいく。
但し、深追いをしないこと。何事も過ぎるとよい結果は得られない。先方が別のしぐさをしたり、瞳の黒目(瞳孔)が縮んだりしたら、嫌がっている証拠。早めの撤退をお勧めする。
全てに感謝、前向き姿勢を習慣化
以前にも書いたが、足をくじいても「骨折しなくてよかった」と感謝。苦手な人に出会ったら「反面教師だ」と感謝。朝から大雨、「晴天」の素晴らしさに感謝。
小さな負の出来事を感謝に変える、前向きに捉える習慣を身に着けることが大切だと思う。
本来やりたくないことを習慣化するのは、結構努力がいるが、幼少期の「歯磨き習慣」などを思うといい。環境や、刷り込みの繰り返しで変えるしかない。
そういえば、台湾の方の習慣にも、学ぶところが多い。レストランでの食べ残しを持ち帰る……。もったいない、物を大切にする思いに基づく習慣は私たちもかつて持ち合わせていた。
スティーブン・コビーは「7つの習慣」で、習慣化するには「感情を、習慣に服従させること」と言っている。
容易なことではないが、肝に銘じることにしよう。
話が少し逸れたが、これから、折りに触れて台湾での面白体験などを紹介していきたい。