2024年2月7日水曜日

大学柔道物語⑨就職編

息子の就職だが、年の瀬に本命先がダメになり慌てて就活を始めた。時期的に厳しい筈が、内定辞退の多発で追加採用が多く、息子はこの機を逃さず面接ラッシュでバタバタだ。

しかし、実業団大会に登録して梯子を外した県警柔道部には憤りを感じるが、今さら愚痴るより、面接で今までの経緯と「口約束でなく契約締結までは安心できない事を学んだ」と語ればよい。

実際面接で就活の話も出たが、質問は総じて柔道の事で、率直に体験を語ると盛り上がるらしく、その反応に息子の方が驚いていた。12年間の本気の柔道は珍しくて興味深いのだろう。

ある役員から「柔道での学びと今後」を聞かれ、柔道精神「自他共栄・精力善用」と、今後は恩義ある道場で子どもを教え、裾野を広げたいと答えたらしい。ホントかよ、と思ったが、無難な答弁と道場への想いに柔道バカを少し見直した。

軒並み面接の結果、複数社から内定を頂き取捨選択できるまでになり本当に有難いことだ。


この道より我を生かす道なし この道を歩く。


彼は業種別に食品、設備、住宅、物販系の内定先から悩み抜いた結果、物販系の業界大手を選択した。取り敢えずの使い捨て営業と違い、全国展開で社員が数千名の上場企業なら、適材適所の人事や人材育成に長けているだろうとの判断だ。

正解は入社しないと分からないが、業界トップを狙う姿勢と将来性は興味深い。おそらく超多忙だろうがチャレンジ精神は鍛えられる筈。

そもそも「やりたいことを仕事にする」のは難しい。最初からやりたい事など分かる訳なく、好きか、嫌いか、向いてるかを模索し、好きで向いていると思う仕事のスキルと知見を積んだ先に、その仕事をやりたい事としてリンクさせるのだ。

先ずは与えられた仕事を評論する前に、その仕事を好きになる事に全力傾注だ。厳しくとも、石の上にも三年は試行錯誤して向かないなら転職だ。

転職とは「向いている仕事」探しで逃避ではない。そう、20代で汗を流さないと40代で涙を流し、30代で知恵を出し変革せねば50代で部下は持てない。


息子たち柔道部4年生は、新設柔道部一期生として、先輩も歴史もない帝京平成大をAリーグに昇格させ、全国ベスト16入りに誇りを持って欲しい。選手の力は勿論だが、小野監督とコーチ陣の指導のお蔭である事も忘れてはいけない。

この4年間の「固い絆」は人生の宝になり、流した汗と継続力は、これからの最高の武器になる。まさに自他共栄と精力善用の姿だ。

こうして息子は会社員を覚悟して卒業する。全ては柔道あればこそで、恩師に感謝し次は社会人という団体戦と個人戦で勝利を掴むのだ。

因みに私は、彼が何処に配属され、どんな会社員物語を紡ぐのか興味津々だが、ブログで語れるかは独り立ちした娘と同様で彼と相談だ。

何れにせよ、自分で決めた道を信じて歩み始める息子に、武者小路実篤の言葉を添える。

『この道より我を生かす道なし この道を歩く』