2018年10月22日月曜日

安田学園柔道部⑤ 悔いなき一年一念であれ!

重量級が揃っていた3年生引退に伴い、安田柔道部は夏合宿で増量を目指したが、現状は軽・中量級の多いメンバー構成となる。個人戦は各階級での上位を目指すが、団体戦は強豪校は重量級を揃えるので、相手との体重差が大きいと不利になるが、仕方ない。

安田は60Kから始まり、最重量の息子で100K級。まだまだ力不足が、強豪の上背もある100K超級が相手だと苦戦する場面が多い。柔道の真骨頂に「小男が大男を見事に投げ飛ばす!」は爽快ではあるが、余程、実力に差がなければ、あまりお目にかかれない。

選手は、かける技以外、どう組むか、どうかわすか、どう返すかも徹底的に鍛錬するので、お互い簡単には投げられない。打破するには「体幹を鍛える」も重要で胴体部を強くすることで、全ての運動に連動して強化されることになる。

胴体を構成する、横隔膜・多裂筋・腹横筋・骨盤底筋郡の4つを鍛えると、体の中心がしっかりするとのこと。腕立て1,000回で腕力を強靭にしても、腰や肩との連動を図らないと意味がない。バッティングでも腰が入らないと、球を遠くへ飛ばせないのと同じ理屈だ。

皆の持つ「感謝力」もパワーの源に!


先日の「東京都学年別3人団体戦」は1年生がベスト8で2年生は3位であった。国士舘、日体荏原、修徳、安田と「東京4強」に位置しているが、優勝までの道のりは遠く険しい。

直近の朗報としては昨年同様、ロシアチュメニ国際柔道大会に参加した16歳の66K・81K選手の2名が共に「金メダル」を獲得!加えて福井の国体で、中堅選抜の安田3年部長の東京都チームが優勝。この素晴らしいニュースに安田柔道部は沸いている。

こんな息子たちの柔道生活も、3年の夏までだから残り1年もない。ケガせず、体幹を鍛え、強豪校以上の練習を積み重ね、来春の選手権全国大会の日本武道館、金鷲旗大会、夏のインターハイ全国大会の鹿児島、茨城国体と、勝利への執念を燃やし続けて欲しい。

常に周囲への感謝を忘れない安田柔道部は、感謝力も糧にして、一心に指導くださる川合先生と「満面笑顔で称え合う姿」を実現するのだ。これこそ言葉を超えた最高の恩返しであり、無上の喜びとなる筈。特に2年生は悔いなき一年一念であれ!と願うばかりである。

安田柔道部、毎年が一年一念!









2018年10月6日土曜日

素晴らしき日曜日

我が家のひかりケーブルに「黒澤明」シリーズが再登場。改めて作品を眺め「七人の侍」「赤ひげ」など代表作は感慨深いが、結構知らない作品があることにも気づいた。

その中の一つ「素晴らしき日曜日」1947年(東宝)を初めて鑑賞した。敗戦直後の東京を舞台に、貧しさに立ち向かう恋人の姿を描いた作品である。この黒澤の初期作品の評価は賛否両論分かれるらしい。それも肯定派と否定派が同じシーンで分かれるのが興味深い。

焼け野原が残る昭和22年。人々は貧しく不便を我慢しながら生きていた時代。お金はないが楽しいデートの筈だった恋人同士が、モデルハウスでバカにされ、知り合いを尋ねても金の無心と勘違いされ、だんだん惨めになる彼と、必死でフォローする一途な彼女。

映画の終盤。気を取り直した彼は、誰もいない野外音楽堂で演奏の真似事をするつもりが、北風に邪魔され舞台にあがれない。唯一の観客、彼女の拍手も届かない。ふっと顔を上げた彼女が「私達に元気をください」と映画を見ている観客に拍手を呼びかけるのだ。まっすぐに、観客の我々に目を向け、涙ぐんで語りかけるのである。

映画の常識を超えた演出に「拍手で応える客はいない」と否定的な考えの人と「観客と一体化させる試みが素晴らしい」と肯定する人と真っ二つに分かれるシーンだ。
実は、この映画がフランスで上映されたとき、観客が拍手喝采の総立ちになったと聞く。

うつむく彼は、万雷?の拍手に後押しされ、彼女の編み棒を手に持ち、舞台中央でコンダクターになって指揮を始める。すると空想のオーケストラの音が聞こえてくる。二人の未来が、音楽によってモノクロから総天然色に変わったかと錯覚してしまう場面だ。

観客が、主観的な応援団になるか、客観的な第三者になるかは、あなた次第である。映画は娯楽の玉手箱。単純な私は、世間の風(北風)に負けるな!と拍手喝采のエールを贈った。そのほうが楽しいし、真摯な彼女の訴えに素直に応えたくなったからだ。

何でも、出来上がった物への批判は簡単である。まずは文句や批判の前に、作り手の感性に近づく努力をしてみる。そのうえで納得できなければ、代案を考えるのがセオリーだ。

私は黒澤明の狂信的なファンではないが、常に本物に拘った映像と緻密な演出で、数々の傑作を生み出したことは事実。秋の夜長「素晴らしき日曜日」を観るのも一興である。鑑賞希望の方は、私からのネタばれを心よりお詫び申し上げたい。で、拍手はあなた次第。

黒澤明の迷作、名作?