2021年11月26日金曜日

大学柔道物語④非日常の世界。

 大学柔道も延期された大会が始まっている。各大会に出場する選手は練習に熱が入る。

大学日本一を争う7人団体戦「全日本学生柔道優勝大会」の帝京平成大の初戦は、何と天理大学。金メダルの大野将平を輩出した強豪である。

男子1回戦、帝京平成大は残念だが天理大に敗れてしまった。初の全国出場での負けも貴重な経験だ。決勝戦は東海大が筑波大を下し、男子も東海大学が柔道日本一の座を堅持した。

大学柔道はレベルが違う。高校に比べ体格も試合の攻防戦も一段と長けてくるので、試合が緻密で面白くなる。大学生が一般の国際大会でも活躍するので、考えれば当然である。


息子たち柔道部の日常は、指導者の支えもあり、みな楽しそうだ。1回生が下僕と化す大学もある中で新設は悪しき慣習もなく、最上級生が優しい2回生なので真面目で平和なもの。

しかし平和とは言え、一般人には耳の潰れたマッチョは異質に映る。電車内で人に避けられると少し落ち込む柔道部。彼らの日常を知ると印象も変わるかもしれない。


柔道部の日常は非日常か。


先日、仲間が楽しそうにバリカンで五厘坊主にしている動画を見た。聞くと柔道部員の総意で、練習に遅刻3回で坊主頭!と決めたらしい。今更と笑ったが、丸坊主からやっと解放された彼らだから、大学生での丸刈り罰則は効果的なのだ。

帝京平成大の練習は小野監督と三戸コーチのもと、日曜以外は朝7時の朝練と授業後の夜練の一日2回にプラス筋トレと充実した日課である。

学生寮がない為、皆アパート住まいの自炊生活で、ちゃんこ鍋は肉の取り合いで揉めるらしい。息子は学食では足りず、タッパに白米と増田先生ご提供のハンバーグや牛丼を詰め、朝と昼2食分の手弁当を持参している。マメな行動に驚いた。

1回の練習だけで、体重はかなり落ちるので毎日が飢餓状態だ。まるで排気量は多いが、燃費の悪い重量級の戦車と軽量級はジープのようだ。

柔道部は皆がこんな生活。金と時間に余裕があれば、お洒落や女性の話に花も咲くが、今は「食欲」に支配されている?が真相は不明。

そんな柔道部5人が我が家に宿泊。一升半の酢飯と大量具材で手巻き寿司、寸胴の豚汁と唐揚げと肉団子も瞬時に無くなる。翌朝もしっかり平らげ嬉しそうに帰ったが、片っ端から食べ尽くす姿に、家内シェフが一番嬉しそうで「又いつでもおいで」と言っていた。💦


因みに帝京平成の女子サッカー部は日本一。何事もサッカー部優先で新米の柔道部は肩身が狭かったが、1部昇格で筋トレ利用時間が増えたと喜んでいた。更に戦績をあげ予算獲得して「柔道部、ここにあり」の存在感へと繋げるしかない。


宿泊した日、彼らは我が家から覗くスカイツリーを「初めて見た」と喜んだ。練習で夜遅くに帰宅、自炊、道着洗濯に追われ帰省も東京見物も叶わない。側からは非日常でも、彼らには当たり前の日常には感嘆するが、少しだけ切ない。

新設で無名の柔道部だが「雑草魂」は育っている。一期生の息子達は来春3回生。大学柔道界に少しでも痕跡を残し、将来も固める時期がきた。

私の願いは一つ。負けて心折れるより、ケガでの挫折だけは絶対するな!である。