2025年4月13日日曜日

300人と30人の宝。

いつも「出会いは人生の宝」と言っているが、いったい生涯に出合う人は何人だろうか。


一般的に人生で何らかの接点を持つのは3万人。学校や仕事で近い関係になる人が3千人。親しく会話ができる300人。友達と呼べるのが30人で、本当の親友は3人ほどと言われる。

あくまで通説だから個人差はある。特に生涯接点3万人は曖昧だが「人生3万日/82年」と言われるから1日1人と出会う勘定になる。SNSで面識のない人を除けば妥当かもしれない。

因みに、有名人で3万人以上の接点と3千人以上の関係をお持ちの人でも、親しく会話できる300人と心許す30人に大きな差はないようだ。


300人と30人は人生の宝。


重松清の短編集「その日の前に」は、愛する人の死別と向き合う人々が再生する話だが、やはり心残りを払拭したい大切な人は厳選されるのだ。

亡き父の話だが、父は我々の反対を押し切って癌の延命治療を停止、会いたい人の訪問行脚を強行した。7年前に母を失い自分の最後には夫婦で世話になった方を訪問と決めていたようで、身体が動く2か月に30人のリストから面談会食を実行。

結果的には体調悪化で、その半数しか会えなかったが、父は充実の時間に大満足していた

やはり歳と共に疎遠と新規が入れ替わり、増減しても、最後に会えるのは30人程だろう。父を見て最後は大切な人を巡るのも悪くないと思った。

そして己の死を看取るのは、身内と友人など10名程か。これが葬式だと遺族の知人や仕事関係の「渡世の義理」が働くから列席者は増えるが、皆が本当に悼んでいるかは別の話だ。


しかし人生の終焉話は暗くなるので、未来に向けた新しい命の話に転じるが、2024年の出生数が72万人。19年が90万人で22年で80万人を割り、僅か2年後は72万人だ。この末恐ろしい少子化は国の想定より15年も早いらしい。

これは葬式どころでない。その原因は「未結婚」の増加と出産しない「少母化」だというが、このままでは日本の存亡に関わる危機である。

今、政治家が票集めの103万の壁やガソリン代補填などの刹那的対策を語るより、抜本的な子どもの環境対策だ。2026年予定の出産無償化の前倒しと、大学までの授業料と医療費の全額免除など、大胆に取り組まないと少母化は止まらない。


当たり前だが、人は「一人で生まれ一人で死んでいく」。そして出産は笑顔で迎えられ死別は涙で見送るもの。これが悲しみの出産と喜びの死別では最悪だ。そうならぬよう嫌な奴を好きになるかダメなら排除してでも、親しく話す300人と信頼の30名と幸せな時間を過ごしたいものである。

一度の人生「全ての出会いは人生の宝」と育んできた人々が、自分にとって最高の300名と30名の仲間が「己の最強の応援団」になってくれる。

同時に自分の仲間30名に対して己が最強の「応援団長」になることも忘れてはいけないぞ。