昨年のことだが、突然、娘が驚くほど髪をバッサり切った。「どうしたんだ」と尋ねると「別に、伸び過ぎて重いから」と淡々と言う。
釈然としない私は「あいつ、何かあったのか」と家内に聞くと「重くて、短くしたかったみたい」と淡々と返答。どうも私の悪い癖で、行動に至った原因を追求したくなる。
重い?そもそも髪で頭が重いことが分からない。重量を調べたらロングヘアーで250g。ピンとこない。そうだ帽子は何gか「ツバ付きキャップ」が約60gとある。つまり帽子4つ分の重さだ。そうか、そりゃ帽子を4つも被れば確かに重い。第一アタマがウザすぎる。しかし帽子2つ分で切ってもよい筈で、このタイミングが分からない。
実は、あとから判明したのだが、彼女が髪を切ったのは、他に意外な理由があったのだ。
31cm以上の壁。
髪を切り、ひと月ほど経った頃、娘が2枚のレターを見せてくれた。宛先と発信元が「Japan Hair Donation & Charity」となっている。ヘアドネーション&チャリティ?よく分からず詳しく聞く。
実はこの「NPO法人ジャーダック JHD&C」とはヘアドネーション・髪の毛の寄付を受け付ける一機関で、人々に寄付して貰った髪を使い、脱毛症、小児がん、ストレスで頭髪に悩む子ども一人一人にカスタマイズし「医療用ウイッグ」として無償提供している法人団体なのだ。
娘は、多毛症の少年がヘアドネーションする動画を見て、この活動を知り、自分もやろうと髪を切らずに備えていたらしい。実はウイッグには、31㎝以上の長さを要し、ブリーチや毛染めで傷み過ぎた髪は使用出来ないのだ。
娘は2年も美容室に行かず、ボブ加工の40㎝を待ち、いよいよ美容室に行き寄付する旨を伝えると、既にヘアドネーションをご存知で、髪の長さと痛みを確認し、乾燥状態で送る為に、洗髪前にカットして束ねてくれた。
こうして娘は無事に寄付できた。2枚のレターとは、送付証明と先方サイトから抽出した「サンキューカード」だった。娘の髪が、日本のどこかで悩む子の役に立てば素晴らしい。
この活動が目指すのは『髪がない事を個性として受け入れる社会』だが、未だ髪の毛がない子への偏見は根強い。そしてヘアドネーション自体を知らない人も多く、その資金も潤沢でなくウイッグも一気に提供できない状況らしい。
私はこの活動を知らなかった。昔から「髪は女の命」というが髪型は容姿にも影響する。今、有名美容師のショートヘアのイメチェン動画が好評だが、どうせ切るなら、それが「髪に悩む子の命」にもなる事も知って欲しいのだ。
実はこの話「ブログで拡散して」と娘からのリクエスト。私は「了解。読んだ人にシェアお願いする。ただ俺は寄付無理」と笑いながら、又髪を伸ばし始めた娘が少し誇らくなった。ぜひ皆さんもシェアしてください。🙇
■NPO法人 ジャーダック JHD&C
https://www.jhdac.org/hair.html