2020年3月17日火曜日

安田柔道部⑩(最終編)

安田柔道部のブログは、息子たち3年生を送る「三送会」で終了となる。先輩の別れに涙したばかりだったが、早いもので1年が過ぎた。

ところが、三送会が新型コロナで中止となった。後輩との試合、決意表明、保護者への花束もなくなった。卒業式は娘と同様、終了証書配布のみだが、郵送よりは恵まれている。

我が家は、子ども二人の晴れ姿が見られず、誠に残念だが、何より子ども達が不憫だ。しかし物は考えようで、後々、生涯忘れ得ぬ思い出となり、別離の儀式がない分、固い絆のまま、生涯の友となれば嬉しい限り。

柔道界も大会・練習の全てが中止で、息子の引越し、柔道部の始動、入学式など変更前提の準備となる。息子に限らず全ての方が行動を制限され戸惑うが、インフルエンザの激減や、家族との会話が増えるなど悪い話ばかりでもない。

今は、国・企業・学校・個人が総力戦で「目に見えない敵」と戦うしかない。一日も早い終息には細菌に「勝つ意欲」は当然で、重要なのは「勝つ為に準備する意欲」と心得たい。


安田学園柔道の3年を振りかえり



思い出一つ目は、個人戦の増地主将の全国3位。全員で声を枯らした鹿児島は忘れられない。二つ目は、昨春の選手権・団体戦の全国出場の決定戦。引き分け延長・代表戦の末の惜敗は悔しすぎて、今も強烈に記憶に残る。

三つ目は、ロシア・チュメニ国際ジュニア大会の金銀銅メダル獲得。16歳限定の国際大会でメダルと共にロシアから賞金が出たのには驚いた。他にも、東京都学年別での国士館との決勝戦、金鷲旗の熱い福岡など、数えあげたらきりがない。

手前味噌だが、強豪ひしめく東京の上位は、今までの鍛錬が決して無駄ではなかった証。しかし本人たちは「悔しい!」の一言しかないだろう。

川合先生は、彼らにハードな練習を課せた。乱取り後、そのまま走り込み、筋トレと追い込んでも「決して弱音を吐かず、食らいついた」と先生は嬉しそうに話してくれた。


純粋で不器用な「時代遅れ」であれ!



夏以降、一般受験組は部活は休止、柔道進学組は柔道部継続に分かれる。ただ、全員に共通するのは坊主頭だった彼らが、念願の髪を伸ばし始めたことだ。

勿論、柔道部活動が耳障りのよい話ばかりではない。ブチ切れ場面や衝突などハラハラしたが、全てが一生懸命が根っこにある所以と、今なら笑い飛ばせる。

無事、卒業生7名は大学も決まり全員が柔道を継続する。部活解散日に、7名全員で最初で最後の休日を過ごしたようだ。「皆んなで、ボーリング、しゃぶ葉、映画のはしごが、何より楽しかった」と語る彼らには「微笑ましい」以外の言葉が見つからない。

一途で不器用な安田柔道部の七人の侍。大学でも愚直な「時代遅れの男」でいて欲しい。飾った世界に流されず、中途半端に妥協せず、悔いのない精進を貫け!と心から願う。


そんな彼らに河島英五の「時代遅れ」を紹介したい。「男が男に惚れる」ような生き方に憧れる。古い唄だが、いつか酒を酌み交わし息子と歌いたい唄である。

一瞬一所一生を懸命に!