「発言」に自分の想いと感情をしっかり乗せて表現すると言葉は「言霊ことだま」に変わりパワーを持つ。それは相手の魂を揺さぶる力を持つ。
決して大きな声で、気負って話すことではない。伝えたい気持ちを強く持ち、相手の反応に合わせて言葉のトーンやリズムを変えるのだ。
言葉を言霊にするコツは、話し方に「間・まをとる」ことを私は講演経験で学んだ。聴く側の「心の声」と対話する想定で語ると間をとる事になる。
例えば「…これで売上は上がります」と言って一呼吸して見渡す。会場の大半が『本当かな』と心でつぶやく。このつぶやきを心で聞く時間を取り「そうです!上がります。但し途中で止めたり、中途半端はいけません」と繋げる。そして反応をみる。
落語家は左右の肩で人物を分け、声色と表情を替えて見事に演じるが、講演も商談も相手の反応を観ながら間を取るので、とても参考になる。
話術上達には落語が実に効果的。今更と思わず一つ好きな演目の完コピなら楽しい。私は枝雀の「代書屋」を覚えたが今は忘却の彼方だ。💦
挨拶でも「お早うございます」と言ったら、返事が無くても「お早うございます」と心の声を聞いてから次を続ける。焦って、相手の挨拶の途中で「本日は…」と被せてしまうと、事務的とかヒトの話を聞かないという印象を与えてしまう。
ヒトの話を聞け!
話す側より相手が傾聴モードにさせるのも重要だ。私は初講演は冒頭にプライベートな自己開示をして、先ず私に興味を持って頂くようにする。
もう一つ「オウム話法」も大切。相手の言葉をそのまま反復する話法で、先方が「この人、私の話を聞いてくれる」と認識し心を開く効果がある。
「やってられない」と言われたら「やってられないですか」と受けてから「何がやってられないの?」と続ける。「嫌な事がありましたか」は絶対ダメ。違う言葉に置き換えたら、相手は私の話を聞いてないと思ってしまう。
同じ言葉を、やまびこのように繰り返すから効果的なのだ。別名エコー話法。
お客様が肌が「カサカサ」すると言えば、何処が「カサカサですか」と返す。それを「水分不足」ですね、と返すから立ち位置を替えられ、化粧水を売ろうとされると構えてしまうのだ。
話し上手は聞き上手。積極的傾聴の先には、揺るぎない信頼関係が待っている。
以前日本一の美容部員に同行取材したが、彼女はお客様の心の声を聴く天才だった。相手の仕草から悩みを察知し、絶妙な相槌とオウム話法でしっかり聞き出し信頼されるのだ。
彼女は、お客様の家庭や仕事の話を傾聴し頷くだけ。その間、相手の手を揉み頬に触れ「だからお肌が悲鳴あげてる」と一言。最後は、激励と共に化粧品を並べて「これだけ使ってみて」と、使い方5分の説明で販売終了。まさにカリスマ接客。
私達は、心の声をどれだけ正確に聴けるか。自分判断で相手を推察する以外に、相手の性格とその時の心模様を知ると精度は更に上がる。
その為には相手の「第一感情」を見抜くことだ。例えば、迷子の子どもを発見したお母さんが「あんた、何処行ってたの」と怒る。だが怒りは第二感情で、見つけた時の「安心・喜び」が第一感情なのだ。安心が徐々に転嫁して怒りに変化する。
相手の第一感情の発見は、その場の表情をよく観察するしかない。第一感情は、瞬時に表情に出るのでそれを見逃さないことだ。
さぁオウム話法、傾聴、間をとり、話術を磨こう。くれぐれも気を抜いた間延びや、間・まを抜く「マヌケ」にはならぬようにしたい!