2016年12月20日火曜日

2016年の漢字「金」。取った後が勝負。

早いもので今年も終わろうとしている。
年の瀬恒例の今年の漢字一文字は「金」に決まった。リオでの金メダルの影響か、皆様の身近の「金」が話題になろう。因みに我が家の「金星」は、娘が建築家を目指し大学進学したことと、息子が全国中学柔道大会に出場したことが、そうかもしれない。

まず、娘の「海洋設計士」という聞きなれない選択が想定外である。海辺の建造物や、川にかかる橋の設計士らしい。需要があるのかと聞いたら、耐震や津波などを考慮した橋の建替えや新築には各都道府県の土木課など、就職率100%だよ、と言われた。その為、高校時代に化学専攻から物理学に変えたので、課題に追われ苦労してるが楽しそうである。

最近は、バイトにも燃えていて、今では近所のスーパーの「野菜カット」部門の顔のようである。野菜の鮮度や、カット技術は相当で、かぼちゃや大根カットは初心者向きで、スイカのカットは熟練者なのだと自慢していた。確かに大根など大きさが違うが、スイカは正確さを要求される気がする。
皆さんも、スーパーでカット野菜の大きさを比較すると、結構面白い。

それに比して、息子は全く先を見ない。柔道以外、眼中にないので困っている。
以前、「夢を諦めるな」とブログで書いたが、彼の場合、高校・大学も柔道を続けるがセットである。中学以上は学校の柔道部所属で全柔連に登録されるので、多くの大会や高校総体などは学校参加になる。どこの柔道部で切磋琢磨し、選抜されるかが重要になる。
高校は関節技、階級など一般と同じ柔道スタイルになるので、息子はそれを見据え、練習と体づくりに余念がないが、頭の中は退化の一途だ。

仕事に目を転じると、米国で権威ある「DMA協会」公認の「ファンダメンタルマーケター資格」DCFM取得のeラーニング教育を、フュージョンで日本版にし、国内で紹介する独占契約を結んだことだ。これは英語版以外では世界初である。

企業は、経理・人事や営業の教育は充実しているが、マーケッター教育はまだまだ不十分である。そこで、米国の最新のマーケティング概要を10のモジュールにし、それをPCで学習することで、あらゆるメディアを体系的に学び「オールラウンドマーケッター」を育成しようとする狙いである。
メーカーなどの社内のマーケ人材がレベルアップすると、今までの広告代理店や分析屋への丸投げ是正や、最先端のソーシャルネットワークを学びレベルが向上することで、より良いものが提供できる機会になる。ひいてはコスト見直しにも繋がる、は受講する企業様からの声でもあった。


人それぞれ、道を極めるために。



設計士も、柔道で世界に羽ばたくも、カット野菜も、一流のマーケッターになるのも、自分自身が継続的に努力するしか無い。その際の最大の敵は「弱い己」である。

「今日は止めとこう。もう、いいか」と自分に囁く「くじける心」と闘う気持ちが大切。
スティーブン・コビーは7つの習慣で「感情を習慣に服従させる」と書いている。
例えば、本来、歯磨きは面倒くさいと思う感情を、毎日毎日幼少期から歯磨きを励行させることで、歯磨きしないと気持ち悪くて寝られない、朝の目覚めのクセ、と習慣化させてしまうことである。目指すは生涯精進を実践する「自己啓発の習慣化」である。

来春62歳になる私は、もはや手習いをする機会など無いと思っていた。しかし、年齢関係なく経験と知見でやり過ごす仕事は、自分の成長を阻害してしまう。

上司が部下育成と称して与える「権限委譲」とは、決して丸投げのことでない。「責任は俺が取る」の発想はかっこいいが、部下の判断だけで任せるは部下が成長しない。プロセスを共有し、口を挟み、部下に他の方法や応用を指導することで部下の成長を促すものである。こんな当たり前のことを、自分に当てはめてみれば一目瞭然、弊社が推奨する教育を、私も受講し成長するのだ。

2017年、私の漢字は「学」である。禁止事項は「太」だな。




※米国DMA公認ファンダメンタルマーケター資格(DCFM) 
教育プログラムがリリースされました!


2016年11月16日水曜日

本末転倒

弊社でも、今やっている業務の「目的は何か」を確認する場面がある。今一度、目的を明確にし、その手段を講じたときに、いつの間にか手段が目的化してしまい、本来の成果が疎かになる事を危惧する。

以前在籍した販売会社の時代に「新規取引先の獲得作戦」を掲げ新規取引店の開拓運動をやった。空白エリアから化粧品を取扱いできそうな小売店をリストアップしたり、競合メーカー取扱店の有力先一覧、商業店舗出店計画を調査して、新規開拓リストを作成した。

マーケのスタッフは、アタックリストが完成したら、仕事が終わったような顔をしている。「手段」の役割分担は、手段を目的化してしまう。総じて本末転倒現象は多い。
「目的」は新規の獲得。大元の目的は売上・シェア拡大である。当然リストから「行動計画」を営業部に繋げ、営業部は訪問先での効果的な営業話法、興味を引く情報等の準備。そして、訪問活動開始、プロセス管理。これ全て手段である。相当なコストでもある。

準備万端、実行の結果は、プロセス管理の徹底もあり計画以上の成果が得られた。しかし、獲得第一号が、普段の営業に新規獲得をデイリーにしていた営業マンが、リスト以外の職種の小売店との取引契約書を獲得。用意した手段は役に立たずショックだった。

完璧な手段と実行より先に、新規を取る「熱意」と、常識に問らわれない「発想」と果敢な「行動力」こそが最重要だと、思い知らされた。



総じて、我々は本末転倒に陥りやすい。


面白い歌がある。少し前に流行った子ども向けの歌だが、妙に気に入っている。

「ホンマツ テントウ虫」

買ってもらった 新しいスパイク
こんなに ピカピカだと 汚したくなくなる
んで、泥にまみれたボールよけて走る
試合に負けたけど 汚れなくてすんだ

それじゃあ それじゃあ 本末転倒
ボールの模様 テントウ虫
それじゃ それじゃ 本末転倒
ありゃ りゃ ホンマツテントウ虫

こんな調子で、鍵を失くした場所が暗いので、離れた街灯の下で探す、とか寝坊できない日に目覚まし時計が鳴るか心配で、朝まで起きて確認したら安心して眠ってしまった。
と続くのだが、笑える歌詞だが笑えない話である。

来春高校生になる柔道息子は、この歌を知っている。将来を大きな視野で捉えると、高校選びも変わるはず。確かに「柔道選手での夢」を追いかける完全燃焼の姿は素晴らしい。
しかし先をみて「文武両道」と人間形成の大切さを気づけば、夢の追いかけ方も変わる。

出稽古で、彼は「やらされる」練習より、自発的に考えて「やる」練習の違いを痛感したらしい。先生不在での手抜きが嫌で、自発的に練習をする高校を目指したいという。

実は、学問も仕事も「自発的」と「当事者意識」は、目的を腹に落とし、明確な手段を自らに課し、やり続けるので、成果を出す絶対条件だと思う。
何事も「やらされる」と「やる」とは、大いに異なる。今、やっていることが目的達成の手段と認識すれば、本気に手段に打ち込める。そして本来、手段は当事者が決めるべきと思っている。

「1 : 1.6 : 1.6²」 

やれ!と言われてやるときの成果を「1」とすると、何故やるのかを理解すると「1.6」で、どうやるかを自分で考え実行すると「1.6の二乗、2.56」の成果をだすそうだ。

この法則、本社に転勤した日に、前任者の方の机上にも同じメモが残されていた。
尊敬する上司からの教えを頂いた、生涯忘れられない出来事である。





2016年8月5日金曜日

試練は突然やってくる(後編)


前編で紹介した柔道全国大会の予選直前の息子の骨折は、まさかの試練の大波乱となった。


周囲は想定外の事態に「仕方ないさ」などのセリフは出てこない。千葉を背負って全国へ行くんだ!を合言葉に、皆必死の練習を重ねてきたので腑に落ちない。主将としての甘さと、仲間たちが気遣って言葉を飲み込んでいるのが判るから、息子は相当落ち込んでいた。

有明医療大学の福田先生は自分の診察時間、研究、指定選手の治療の合間に息子との時間を調整し、それこそ寝る間も惜しんでの治療をして頂いた。同時に柔道家として半端ないリハビリ用トレーニングメニューを息子に課せた。

息子は、松葉杖片手に道場の隅で、黙々とハードメニューをこなす日々。福田先生は、時間がなく試合がぶっつけ本番になるので、ケガ前より強くなれ、と目論んでいるようだ。

息子の希望で「酸素カプセル」にも通った。サッカーのベッカムが自宅に置いてある代物で、疲労回復や骨の成長に効果があるらしいが、10日で身長が1cm伸びたのは驚きの事実である。そして2週間目には松葉杖も不要になった。先生曰く、食事と睡眠のバランス、酸素など全てが結集したとしても、驚異的に早いです、と感心された。

登りきれ、まさかの坂

試合の2日前、打ち込み600回と組み手の練習後、帰宅した息子は、初めて弱音を漏らした。
「この3週間、一度も投げ込みも乱取りもしていないけど、大丈夫かな」とつぶやく。
「不安は当然。今は先生を信じ自分を信じるしかない、練習は嘘をつかないんだろ」と私。

地区予選当日、福田先生はわざわざ会場に来てくださり、息子の足にがっちりテーピングをしてくれた。そして息子に一言「これで大丈夫!」。息子はこの3週間で最高の笑顔を見せた。心のカンフル剤にもなったのか、一瞬で戦う形相になる。

結果は、息子81キロ級で選ばれ、他にも60キロで2名、73キロ、90キロ級と、七中主力が県大会に駒を進めた。そして団体戦でも市川七中は県大会進出となった。まずはひと安心だ。

試練は続く

10日後の県大会当日、周囲の応援と福田テーピングを味方に勝ち進んだが、決勝戦でテーピングの足をピンポイントで払われ、まさかの敗退となった。先生も周りも試合判定の心残りはあれど、もはや勝敗は決したのだ。それでも、男子レギュラー2名が60、90キロ級で全国進出を果たせた事がせめてもの救いである。

こうして彼の全国個人戦出場の夢は途絶えた。今更、言っても仕方ないが残念無念である。
茫然自失の息子に、慰めの言葉もかけられない。まして明日の団体戦への気力は自力で奮い立つしかない。我々家族は見守るしかないのだ。

翌朝、彼は私に「今日の団体戦は必ず優勝するよ。市川七中全員で全中にいくから・・」
私は、『よくぞ、いったと内心感激した。昨夜、黙って足首を冷やしていたが、痛かったかもしれない。思えば、治療中の言い訳も、痛めた左足首への小内攻めで負けた悔しさも、彼の幻の「有効」も、指導3取り時間切れなど、後悔も愚痴も一切語らず、黙って「負け」を受け止めて、今日に気持ちを切り替え、前へ進み始めた。

私は何も言わずに拳を突き出した。彼は照れ笑いを浮かべて、黙って拳をぶつけてきた。

こうして、市川七中が団体戦・男女ともに見事優勝を果たせたのだ。中学の団体戦は、体重順に5人が戦い、3勝した方が勝ちである。選抜43校を順調に勝ち進み、決勝戦を迎えた。
先鋒、次鋒、中堅戦が2勝1分で、副将の息子に回ってきた。あと一つ勝てば優勝だ。

大声援が飛ぶ。『勇斗!お前が決めて、優勝を勝ち取れ!』。開始2分、攻め続けた息子は、大内から踏み込んで渾身の大外刈を決めた。1本勝ちの瞬間、息子と同じ個人戦で全中を逃した次鋒の選手が歓喜の涙で立ち上がる。そのまま市川七中全員が抱き合い涙を流している。

3年前の入学依頼、全中出場の悲願を果たした瞬間だ。主将のケガ波乱のこの1ヶ月は、おそらく選手全員が不安を彷徨いながら、心を一つにしてようやく勝ち取った優勝である。
子どもたちも、先生も父兄も涙腺崩壊の試合となった。


神の手福田先生と


市川市も七中も男女とも初優勝


市川七中団体メンバー



「七柔魂」よ、永遠に

先日、市川七中の関東・全国への壮行会を須賀道場で開催して頂いた。大騒ぎしていた子どもたちが、最後に市川七中の校歌を歌った。そう、来年は、2度とこのメンバーの団体戦はないのだ。先輩との残り僅かな日々を惜しむ後輩たちがボロボロ泣き始めた。

先生の叱咤激励「泣くな、まだ関東、全国があるぞ。後輩たちは、先輩の道を繋げろ!」

子どもたちよ。この先どう変わろうが「市川七中柔道部」も「須賀道場」も、でんと構えていつまでも変わらない。君たちは一生、七中柔道部OBであり、この道場の門下生なのだ。
「子どもたちの柔道人生はこれからです。負けるも、ケガも、挫折の壁を超えて、集う子は生涯の弟子ですから」と、先生たちは言ってくださる。何と有難いことか。

恩師と仲間を信じ、己を信じ、懸命に過ごした経験は、振り返ったときに「試練」となり、それを克服して「得難い経験」になり、やがて彼らの「財産」になる、と信じている。

人生「まさかの坂」は迷い坂ではない、ひたすら登り切るしかない坂なのだ。
試練という脇道で少し遠回りして克服し、上り坂・下り坂のある「元の道」に戻すのだ。

七中校歌。須賀道場

2016年7月8日金曜日

試練は突然やってくる(前編)

この夏、柔道中学生が目指す「全国中学総体柔道大会」が、8月17~20日に新潟県上越市で開催される。昨年の北海道大会は、3年の上級生に負け千葉県代表になれず全国を逃した。新潟大会は、3年生の息子には最後のチャンスで、負ければそこで引退となる。

7月から各都道府県毎で予選会を勝ち抜き、階級別代表選手と代表団体校が「全中大会」への出場権を得る。千葉県は各14ブロックを経て、7月下旬の千葉県大会で各階級優勝者1名と、優勝校一校が千葉代表として全中大会の切符を手にする訳で、そう簡単ではない。

春の千葉県大会では、息子たち市川七中が団体戦で優勝し、個人でも81KG級で優勝した。七中レギュラーは各階級別でもトップクラスで、最強メンバーと評価されているようだ。
そのために、彼らは部活と道場で猛練習を重ねてきたから、全国大会で上位を狙う!の夢を叶えてやりたいと願うばかりだ。

ただひとつ、この時期に絶対にあってはいけないのが、怪我と病気。試合に出ない、は幾ら過去強かろうが関係ない、不戦敗でその場で終わるのだ。
今、柔道の先生たちと選手の合言葉は「絶対にケガはするな!」である。

人生、上り坂と下り坂の合間に「まさか」の坂がある

市川・浦安地区予選を3週間後に控えた部活の練習中、学校から「息子さんが練習中ケガをした」と連絡が入った。歩けないので迎えに来て欲しいとのこと。家内は保健室で寝ている息子を見て真っ青。乱取りの最中に、後輩の重量級の相手が投げられまいと、息子にしがみつき、左足首が絡んだまま上に乗った形で倒れこんだらしい。最悪の事故である。まさか、何故、この時期に・・心をよぎるが気を取り直し、パンパンに腫れた足首の息子を乗せて、そのまま救急医療センターへ。

診断結果は、左足首脛骨骨折。夜遅くにギブスで固められ、沈痛な息子をみて正直、彼の最後の大会は終わったと落胆した。しかし、それではあまりに悲しいし、諦めきれない。

柔道の先生たちも案じてくれ、整骨で全国屈指の先生を紹介して頂いた。柔道家でもあり、国内有力選手の奇跡の回復や、指定選手のメンテナンスもしている方である。
先生は快く診察に応じくれ、翌日深夜に指定された医療大学の先生の部屋にお邪魔した。

先生はギブスを外し、足首を触りながらレントゲン写真を睨む。

「心配していたとおりです、脱臼したまま固定されてますよ」
「えー・・」私たちはただ驚くばかり。
「昨夜は痛かったでしょう、まず脱臼を直しますが、骨折部位の反対の靭帯も伸びているので、回復には時間がかかります」それを聞いた息子が一言、
「先生、3週間後の予選会にどうしても出たいのです」
「・・・・・」。

柔道歴20年の先生は、この予選会の重さを知っているだけに、先生の沈黙は怖い。やがて意を決し「何とかやってみます」と仰った。先生は、骨折・脱臼・靭帯の回復だけでなく、試合感、左足筋肉の衰え克服のトレーニングなど、並行しての復帰である。息子にすれば、先生の指導を守り必死でトレーニングを重ね、出場できたなら「勝つ」しかない。

この日から、先生の昼夜を問わぬ献身的治療と、息子の1日4時間に及ぶリハビリトレーニングが始まった。救急医療で全治一ヶ月半と診断された息子が、治るどころか3週間後の試合出場という記録的復活が果たせるかどうか、先生と息子の戦いが始まった。

柔道先生と仲間たちと家族は、この3週間をひたすら見守るしか無い。
無関係の皆様には面白くなくて恐縮だが、この行方は、次回に掲載したいと思っている。


神の手


2016年6月28日火曜日

変える事と変えてはいけない事。

2016年も折り返しとなる6月も終わろうとしている。今更ながら時の速さに驚いてしまう。

先日、社長が消費税引き上げ延長の経済変化と、増税翌年の2020年オリンピックの予想を語っていたが、この業界あっという間に進化する。駆け込み需要を見越した住宅関連は、供給過剰になり物価上昇に歯止めがかかると、当面の円高予想は多くの企業に影響が出る筈だ。

「ダイレクトマーケティングエージェンシー」として快進撃のフュージョン(株)に入社して、ちょうど1年が経つ。最初の半年は、社内言語が理解できず苦労した。
ビッグデータ管理、分析、小売の進化系オムニチャネルへの対応、効果的DMの差別化など、顧客分析から打ち手の提案など、時代の最先端を走るメンバーとお取引先様に囲まれ、「昭和男」が、何とか生き延びているのは、「不易流行」精神のおかげである。

「不易流行」は永遠のテーマ

「不易流行」を考えさせられる最近の面白い仕事を紹介したい。ある有名私立大学から、少子化で減少する受験者数を獲得する目的での効果的DM制作のご相談であった。大学側とうちのスタッフで、学校の強み弱みを分析し、効果的メッセージを決め、受験したくなる内容でデザインをお起こし、クリスマスカードとして発状した。

結果的に過去5年の記録を更新する受験者数を獲得できたのである。大学からも大変喜ばれ、それを知った他の私大からも依頼が舞い込んできた。因みに内容は秘密である。

子どもの数が減り、大学も塾も市場の奪い合いである。合格実績や就職率などの数字以外にも、トピックスや他にない魅力が無ければ、生徒は集まらない。
不動人気の大学以外は、生徒獲得が重要なミッションである。いわば「流行」である。

しかし、学校の不易が「学び舎」ならば、その目的は学びたいと思っている老若男女を問わず学びの場を提供することだ。企業の不易が「企業は人なり」ならば、学閥や成績で採用するのでなく人物本位で選択することだ。これを基軸にすれば、打ち手も変わる筈。

ブランドの価値を守り育成するには、時間も手間も金もかかる。企業も大学もコーポーレートブランドや商品ブランド育成にその投資を惜しまない。しかし積み重ねたブランド価値も、人為的な偽装や粉飾騒ぎ、不祥事などの反社会的行為によって、一瞬にして信用もブランドも失墜する。ブランドは人の力で育てるが、崩壊させるのも人である。

組織活性化は、一人一人の当事者意識

この会社は、あの大学はと人が評するときは、そこに「集う人」を指す。「集う人」が組織を育み「人材」を「人財」へと継続し続けて、社風・校風が構築される。

今の若者には、古い思考回路かもしれないが、社風・校風を起こすには、まず形から入ることが大切と思っている。会社には、社則、社訓があり、社旗、社歌、社章がある。学校ならば校則、校旗、制服、校歌、校章。これは管理でもなければ、人を縛るためではない。

野球の試合でバッターボックスに立つには、ユニフォームを着てヘルメットをかぶり、バットを握るのは当たり前。そしてバットにボールが当たれば一塁に走るのだ。それがルール。そこに特例や妥協は存在しない。個人プレイやスタンドプレイはその先だ。

今時の方々には、社章も校章も関係ないと思われるかも知れない。しかし、この存在の重みは、それを失った時にひしひしと判るもの。私は10年前に、社則も社訓も社歌も社章も失った。当時、企業再生の真っ只中で、会社に集う人の心を見つめる暇もなかった。

会社が買収され、最後のカネボウ社員の全体会議で、今まで面倒と思いながら歌った社歌「鐘紡我ら」を皆で歌い、三色マークの社章をスーツの襟から外した時、「ああ、我々の会社は、この世から無くなってしまった」と痛感したのだ。
私は不覚にも涙が溢れてきた。あの寂しさと悔しさは生涯、忘れることは出来ない。

新たな会社に勤め、若い仲間の仕事ぶりを見ていると、強い絆や「愛社精神」と「人に優しく仕事に厳しく」の上位概念の上に、一番大切な当事者意識を持っている。これは不変、不易だということを今更ながら実感する。

営業時代の襟元には社章

東北時代も制服・社章は必携でした

今はなき三色マークの社章

フュージョン(株)取締役 田辺志保

2016年4月26日火曜日

その場で、そのことだけを、短く。

ふっと、自分のブログを眺めたら、何かを伝えたい、訴えたい、という気持ちが強すぎて、押し付けがましくて、くどすぎる、と今更ながら反省した。

セミナーや講演は「何かを得る」のが目的なので、しつこいぐらいの繰り返しが丁度良い。しかし、ブログは何も構えずに眺めるから、文章が長いと読むのが面倒になる。

以前、文章指導の先生から「書くこととは、書かないことを決めること」と言われた。あれもこれもと説明したい私の悪い癖を、踏まえたアドバイスだったと思う。

井上ひさしが、物事を人様に伝えるコツを披露していたことを思い出した。
「難しい事はやさしく、やさしいことは深く、深いことは面白く」と言っていたではないか。もう一度、原点に戻り「その場で、そのことだけを、短く」に徹してみよう。

実は、これはマネジメントの「叱り方の原則」でもあるが、人様に伝えるにも通じる。
「その場以外に、そのこと以外も、ダラダラと」怒るのは最悪で、相手に伝わらない。
今後のブログは起承転結、伝えたいことを簡潔に、を心がけたい。

期待を超えたら「感動」する

先日、感動の出来事があった。自分が決めている満足基準値を超えた「感動出来事」の実例だ。例えば、居酒屋の接客と高級クラブの接客では満足の期待値は違う。自分の期待を超えると感動になり、期待を下回るとクレームになる。今回は想定の期待を超えていた。

ミス・ユニバース事務局から、書類が届いた。開けてみると、2016年版のミス・ユニバースの冊子と、正式な講師認定証が入っていた。「ご丁寧に有難う」と、ここまでは通常の満足。しかし、もう一つ入っていたのが、各地区代表の46名からの感謝の手書きの寄せ書きだったのだ。これは、貰えるなどと思っていなかったので驚いた。

各自が、私の講演の感想や感謝の文章がびっしり書き込まれ、ビューティキャンプでの彼女たちのひたむきな姿を思い出し、思わず笑みが溢れてしまった。

メールと携帯電話中心のご時世に、手書きは希少であり、何と嬉しい事だろう。
皆さんが、この経験を糧に夢に向かって活躍の場を広げることを、心より応援したい。
そして、事務局の方々のにくい演出と、気働きにも感謝である。

私も、大切な人に、期待を超える感動をお届けしようと、学び、心した出来事だった。
                                  
フュージョン(株) 田邊 志保





2016年4月5日火曜日

若返りの秘訣を考える

先月、中3息子の耳が沸いた。耳が沸くとは、柔道、ラグビー、レスリング選手に多く、耳が潰れること。正確には「耳介血腫」という。相手の手や寝技の畳で耳が擦れ、その繰り返しで潰れた軟骨の髄液と血液が内出血して貯まって膨らんだ状態。かなり痛いようだ。

息子は、相手が奥襟を取る手が自分の耳にぶつかるの繰り返しで沸き始めた。腫れても乱取りを続け益々腫れる。耳鼻科で痛さをこらえ注射器で4回ほど血を抜いたが、抜くと腫れは引くが、練習でまた腫れるの繰り返し。結局、血抜きを止め見事な餃子形で固まった。




沸いて固まると元には戻らず、女子選手は引退後に耳の整形手術をする方もいる。音楽を聞くのにヘッドホーンしか使えない人もいる。耳の穴が塞がりイヤーホンが入らないためだ。息子も耳の穴が閉じないよう、沸いている暫くは耳栓で穴を確保していた。



エイジングに対抗する


自動車も、乗り続ければガタは来る。人様も同様で、身体中のあちこちが変化してくる。短期間の酷使でも変形・変化するから、酷使するスポーツ選手や職人さんなどは、身体の部位が変形する。美容師や板前さんの水仕事で荒れた手、サッカー選手の剥がれ爪が再生した足、ペンだこ、ヒール靴からくる外反母趾などきりがない。

当然、万人に訪れるのは老化による変化。私の場合、幸い若い社員からパワーを頂き気力は充実しても、加齢に伴い髪は抜け、シワは増え、体重、嗜好も変わり、物忘れは脳細胞が死滅しているからだ。しかし案ずる事なかれ!心がけと努力で進行を押さえ、改善は可能だ。



先ず、生活環境でも変わると云われている「人相」。悲しい時には寂しい顔になるし、楽しい時には嬉しい顔になる。この時、横のシワは笑顔のシワで、俗に喜ばしい表情シワ。これが刻まれると、穏やかな顔になる。横のシワは穏やかな年輪なので、気にしない。

反対に縦のシワは、嬉しくない表情シワ。厳しい渋面の眉間の縦シワは感心しない。これが年輪とともに刻まれると、気難しい表情の人に思われがちだ。これは絶対刻まないこと。

自分で意識して笑い顔表情を増やすと、渋面の顔つきまで変わるから不思議だ。眉間にシワを寄せるのは、今から禁止して作り笑いで乗り切ることだ。

前職の化粧品会社では、肌改善を命題としたが、老化防止に効果的なのは、保湿とマッサージ。紫外線は言語道断。そして年齢は首に出るので、顔以上に首筋ケアが重要である。

他にも内面的にも好影響を及ぼす、香りのアロマテラピー効果や、社会生活を活性化させるメイクの効果・効用など研究してきた。介護施設のお年寄りが、唇に紅をひくだけで、現役の社会生活を想起して、尿漏れやオシメの回数が減少するのは驚きの事実。

こうした「若さへの回帰」や「自信回復」を促す精神的な「生きる活力」は他にも数えきれない。老いらくの恋、孫との接触、趣味の世界など生きがい全てが若さの源である。


笑顔の価値は250万円なり

岡山の柴田病院が、重篤患者の延命治療として「よしもと新喜劇」に通うのは有名な話だ。自己免疫力の向上作用で、心の底から笑った時に、ナチュラル・キラー細胞(NK細胞)が活性化するからだ。逆に諦めて沈んでいると、NK細胞は減少するといわれる。

米国の研究では、笑顔1回の資産価値は250万円に相当すると云われている。そして子どもは、1日400回笑うのに、大人になると10回前後に激変してしまうのは寂しい限りだ。

NK細胞は「作り笑顔」でも増大する。辛い時こそ縦から横のシワに無理やり変えることだ。取り敢えず口角上げて笑ってみる。口に指一本咥える作り笑顔も効果がある。

若返りには、成長ホルモンの活性化が大切で、まずは「適切な運動」。それからホルモン分泌に必要な「アルギニン」は大豆、魚介、鶏肉など良質なアミノ酸の食事から取りたい
更に美容やダイエットには、よく噛んで食べることで、耳下線からの唾液に含まれる肌の代謝活性化ホルモン「パロチン」を促す。このホルモンと、代謝が活性化する夜10~11時での深い「睡眠」は肌改善の相乗効果を生むことになる。

健康な身体づくりとは、よく耳にする「当たり前のこと」ばかりである。しかし、その継続が難しいのだ。多忙やストレスが気持ちを挫くからだ。ポーズで結構なので「楽しく笑顔で日々を送るぞ」と口にすることが老化防止の根源である。

友人の医者からの言葉、
「病は気から、大切なのは本人の気持ち。そのまえに、後手の治療より先手の予防!」。

髪が抜け始めた私の言い訳は、「このハゲは、滅びゆく森林でなく、開けゆく大地だ」と笑顔で自分に言い聞かせること。結果、心臓だけには、毛が生えることは実証済みだ。



田辺 志保

2016年3月2日水曜日

2016ミス・ユニバースジャパンに参加

今年も2016ミス・ユニバース・ジャパンが始まっている。昨年来、各地区大会を勝ち抜いて都道府県の代表が決定し、46名のファイナリストの中から日本代表が選出され、80カ国の代表者が競う世界大会へと進んでいく権威ある大会だ。

ファイナリストの方々は、3月1日日本代表選考日までの2週間を、東京椿山荘での「ビューティキャンプ」に全員が参加する。各界から講師を招いて、外見の美しさだけでなく、「知性」や「物腰」「自己表現」などの様々なレッスンを受け、自分の将来も見据えた「女性を磨く」期間となる。

そんな「ビューティキャンプ」の折り返しの24日、友人の谷口氏のご縁で今年もキャンプ講師として椿山荘にお邪魔した。46名の代表者が学校形式で並んだ部屋は、抜群のスタイルと美しい笑顔に溢れ、会場内は独特の雰囲気に包まれていた。
私と同行したフュージョンアナリティクスの平岡さんは、明らかに緊張して、彼の鼓動が聞こえてきそうだった。私は、たまたま前の会社が、圧倒的な女性パワーで成り立つ会社だったので、若干懐かしさも感じた。



講演は、以前紹介したことがある「ザイアンスの法則」から話を始めた。突然の田邊をみて胡散臭さを払拭して、好印象から好感まで高めて「聞く耳」を持って頂く為である。
未だ「人は身なりや印象で判断する」は世の常で、我々は今までの物差しで、好き嫌いを判断してしまうもの。良くないとわかっていても「あの人とは合わない」とか「あの人、苦手」と決めてしまう傾向がある。

ところが、自分が意識して相手を自己開示させていくと、知らなかった相手への理解度が増す分、自然と好感を持ち始めるという法則である。苦手と思う方を思い浮かべるよく分かる。その方の人間的側面を全く知らない場合が多い筈だ。

次は、対人関係のアドバイスである。コミュニケーションには、ちょっとしたコツを知り実践するだけで、随分とお互いの印象や好感度を変えることが出来る。人が意識する行動と、無意識の行動を理解して、話し方、目線、物腰、傾聴のうなづき、などひと工夫すると、相手の反応を変え、好感度が深まりコミュニケーション力は大きく変わる。
具体的に興味のある方は、以前のブログを是非お読みいただくことをお勧めする。

今回の彼女たちも、真剣な眼差しで瞳孔を開いて受講いただき、こちらが恐縮するほどであった。まさに話し手の心をくすぐる「積極的傾聴」の実践を見る思いであった。
最後に、野口雨情の「シャボン玉」を合唱し、創り手の想いを知ることで、今までの価値観や概念を捨て、本質を見据えた深い概念と価値観を築こう、といった主旨もお伝えでき嬉しい限りだ。

本当の美しさ

彼女たちは、誰もが羨む「美しさ」を既にもっている。しかし、本当に美しい人とは、他人の美しさに気付ける感性と、素直にそれを認める度量をお持ちの方である。勿論、コンテストだから自己アピールの主張は大切だし、グローバル社会では肝要な要素である。
しかし、これからの長い人生「私が、私が」の「我」を忘れ、「無我」に近づき、他人の痛みを知りながら、目指す「夢」に向かってひたすら歩み、夢の「中」に入ることが、最も大切だ。
これが「無我夢中」の姿である。まだまだ私もたどり着けない境地であるが、見返りを求めず、ひたすら努力を重ねる「無我夢中」の姿は、魅力的であり、思わず見習ってしまいたくなる。46名の無我夢中の努力の姿勢が、日本代表選考会だけでなく、これからの人生の根っこになれば素晴らしいことである。

日本代表は一人だけである。言い換えればあとの45人は、優勝者にエールを送り、世界舞台の夢を託すわけだ。「悔やしさ」は次なる挑戦のバネとして、これからの課題と対策を考えることだ。しかしそれ以上に得たものが、地方大会からこのキャンプまでにある筈だ。多くの方々の応援と温かい言葉、隣人の気遣いなど、全てがあなたの財産である。
まさに「出会いは人生の宝」を実感して欲しい。

昨年のビューティキャンプでの講演後、記念撮影で隣に座ってくれた長崎代表の宮本エリアナさんを思い出す。彼女は見事日本代表に選ばれた。98%が同民族の日本で、アフリカ系米国人を父に持ち、差別や偏見やいじめを跳ね除け、日本をこよなく愛する彼女は、見事に世界にその存在をアピールした。



2016の日本代表になられた滋賀代表の中沢沙理さん、切磋琢磨した仲間の想いと、今までの方々への感謝を背負って、悔いのない自分らしい世界大会を思い切り楽しんで欲しい。
結果より、「無我夢中の健闘」を、心より祈念している。

「信念」と「無我夢中」。ミス・ユニバース・ジャパンの皆様に、私自身が教えられた日であった。


田辺 志保
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ザイアンスの法則

2016年1月22日金曜日

夢を諦めるな!

今年はリオでオリンピックが開催されるので、4年後の日本・東京開催は目の前である。
準備も大変だが、開催国としてメダルの獲得必須種目の関係者には相当なプレッシャーである。

この春で中3になる息子は、小学校の卒業文集に「柔道で東京オリンピックを目指す」と書いた。
始めて1年足らずで、随分と無謀な夢を掲げたものだが、本人はひたすら練習に明け暮れている。
親としては、怪我でもした時の心配から「文武両道」を唱え、進学など将来的に潰しの効く道を考えるが、息子は全く意に介さない。

友人の息子さんに、ジュニア日本代表からサッカー選手を目指し、大学でもサッカーに取り組んでいる好青年がいる。彼は昨年、半月板損傷の大手術をして、ほぼ1年間を棒に振る事になった。
友人は、親として「将来のことも考えて、勉強と就職活動、それから人脈作りも大切に」とアドバイスしたらしい。息子さんは「あと1年、頑張らせてくれ」と頭を下げたとのこと。
小・中・高時代は、息子を見守り応援してきたが、大学生ともなると、夢だけでは飯は食えない、という自覚も必要、とつくづく友人から教えられ、私も早々息子に伝えることにした。

その日、道場から戻った息子に、とうとうと、その話をした。じっと耳を傾けていた息子が一言。

「よくわかったよ。結局、夢は諦めるな、ということだね」
「・・・。いやいや違う、夢は大切だが他の道も考えて、今は勉強もしろ、ということだ」
「でも、お父さんの友達の息子さんは、もう1年頑張るんだよね」
「・・・」。

どうしたものか、と困ってしまった。翌朝、友人にラインで報告すると、暫くして返信があった。
何と、日本ジュニア代表でのフランス大会のメダルの表・裏の写真が添付されてきた。
何も書かれていない返信だけに、気持ちが伝わる。


やはり、夢はあきらめられない

『今はとことん努力し、這い上がってでもやり切れ』なのだ。息子は、メダルを見て目を輝かせていた。「やらずに諦める後悔」より、たとえ夢には届かなくても「やりきったことへの満足」のほうが、重いんだろうな。友人もきっと子どもが完全燃焼するまで見守るのだな、と納得した。

そんな息子たちの練習は、当然きつい。部活以外にも須賀道場で夜遅くまで練習である。道場が休みの土日は、部活と塩浜の市川柔道教室にも通う。周りの先生たちの卓越したご指導と練習量のお陰で、息子たちはみるみる強くなった。


昨年秋の千葉県新人戦では、市川七中が男女とも優勝。個人戦でもレギュラーは各階級トップクラスである。息子も81キロ級で優勝でき、千葉県中学強化選手に全員が選ばれた。これで強化練習もプラスされたので、柔道漬けの毎日になってきた。



千葉県の強化スケジュールは、秋から半年間続く。熱心な強化担当の先生たちのご尽力で、地元の大学・高校も協力してくれ一体となって練習して頂ける。
先日の3連休も強化合宿があり、食事と風呂の時間まで惜しんでの練習メニューに、戻ってきた息子たちは「暫く柔道は見るのも嫌だ」と言ったきり、死んだように爆睡していた。
先生たちは、ついてこなければ、いつでも辞めて構わない。強制でもお願いでもない、とはっきりしている。爆睡から目覚めた息子は宿題もやらず「柔道ノート」をつけていた。喜ぶか悲しむか複雑だが、正直ここまで突き抜けると呆れて文句も言えなくなる。

そんな最中、昨年暮れに千葉県団体戦優勝校として、念願の「サニックス旗福岡国際中学生柔道大会」に出場してきた。こんな機会はもうない。レギュラーの家族と須賀道場の岩崎先生も応援団で福岡に出向き、正月前の大旅行となってしまった。世界11カ国の柔道中学生が参加する大会で、ロシア、韓国の選手の体格と強さには驚いた。対戦はなかったが、翌日の練習試合は世界柔道を体感できる良い機会であった。

試合結果のほうは、1回戦目は5-0で圧勝したが、2回戦が昨年優勝校の愛知・大成中に2ー3で敗れ、残念ながらそこで終わった。因みに決勝戦は、東京の国士舘中対福岡の大蔵中で、1-1で代表戦にもつれ込み、延長時間無制限の壮絶な戦いの末、国士舘が優勝した。精魂尽き果てた代表選手2人に、場内惜しみない拍手が鳴り止まなかった。



やはり全国の強豪校を見ると、「上には上がいる」と実感する。所詮、今は千葉の大将なのだ。
「全国から選手を集める私学と違い、公立の市川七中さんは、仕方ないですよ」と慰めてくれる方もいるが、勝敗にはなんの関係もない。ましてそれを理由に「仕方ない」と他責にしても解決はしない。課題と対策は、自責からしか生まれない。体格、経験、組手のさばき、技のキレ、練習量など、どれをとってもやるべき対策は山積みだ。先生たちは全国中学大会を睨んで、練習を組み立ててくださるが、何より本人が自分の課題を腹に落とし、考え、工夫して自ら克服するしかないのだ。

練習は嘘をつかない

今は、息子が柔道をやってよかったとつくづく思う。小学校で浦安柔道協会で素晴らしい先生に出会い、中学で熱心な顧問先生のいる市川七中柔道部に席を置き、名門須賀道場の門下生となり、その御縁で市川柔道協会の先生たちとも巡り会えた。
柔道の王道を貫く、名だたる指導者に囲まれている奇跡的な出会いに感謝してもしきれない。
中には「強けりゃいいんだ」とばかりに、試合態度も無作法で、挑発や頭突きまがいの試合をする子どももいる。しかし、うちの先生たちは絶対に許さない。
やはり、少年柔道の原点になる教えは「礼儀は僕らの得意技!」なのだ。

当り前として、親と先生と先輩に礼を尽くす。そして夢に向かいひたすら練習に励む。
息子は「大外狩りの打ち込みを1万回やったけど、5000回から変わり始め、1万回で少し分かった気がする」と言っていた。傍観者から見れば凄い練習だと思うが、平然と練習させる先生と、実行する子どもには、それが当然なのである。


「かけた情けは水に流せ。受けた恩義は石に刻め」 須賀先生と岩崎先生の人生訓


「諦めず 気が遠くなるまで 繰り返す」 立花克彦先生の人生訓

「百折不撓」 廣田先生、増田先生から頂いた道着の刺繍





先生から頂戴した言葉も、練習道着も、日々のご指導も、全てに恩師の想いがこもっている。

4年後に、東京オリンピックはやってくる。限られた時間だけに、ただ、ひたすら夢を諦めずやりきって欲しい。挫折しても這い上がれ。よしんば夢敗れてもいいじゃないか。
それ以後も人生は長い。そのためには「やり切る気持ちと諦めない心」を、今こそ養うのだ。

還暦オヤジも、全ての方も、今からでも遅くない、と元気が出てくる。
誰にでも「やる気」と「元気」と「根気」は、まだまだ育つものだから。


知識融合化法認定法人フュージョン株式会社
 東京オフィス長 田辺志保

2016年1月4日月曜日

2016年を迎えて

新たな年を迎えて、本格的に街も会社も通常モードに変わり、追われるように動き始めた。

本年も昨年以上に好奇心を持って全力で取り組んで参ります。昨年同様のご厚情を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

2016年に起こる世間の変化を眺めると、我々の動きにも変化対応を求められそうである。
国内では「マイナンバー制度」が稼働を始める。政府も企業もこの対応に追われるが、抜け道ビジネスの出現や、そのシステム対策を講じたりと世間を賑わしそうだが、新たな事業も生まれそうだ。
何れにせよ、各人のセキュリティ意識はさらに敏感になる事は間違いない。

札幌に本社を置く当社に関係ありそうなのが、「北海道新幹線開通」だ。東京ー函館を4時間で結ぶので、町おこしは北陸の再来を予感させるので期待が持てそうだ。

経済界では電力小売りの全面自由化。価格・サービスともに既に100社以上が事業申請しており、ガスや水道などのセット売りなど競争激化が予想される。
政治では、参議院議員の任期満了に伴い通常選挙が行われる。この年から公職選挙法改正により18才以上が投票できる。若者は、政治に無関心などと言わず、将来の日本に関心を持ち、政治家の高齢社会充実の訴えから、若者社会への活性化にシフトする公約を見極める事が大切だ。

海外では、フィリピン大統領選挙、アメリカ大統領選挙がある。日本の国際的関係性にも影響はあるだろうし、リオのオリンピック、NYのF1開催など、テロ対策のせめぎ合いは激化する一方だ。

不易流行

大きな変化に「変わらなければいけない」ことがあるように「変えてはいけない」こともある。
温故知新も同様の意だが、過去を学びながら大胆に進む、の大切さは以前の会社や実生活でいやというほど学んできた。先人の思いの真理を探る事は重要である。

1887年創業の以前の会社は「正しく行って何人も恐れず」を基本に「愛と正義の人道主義」「社会国家への奉仕」「科学的合理主義」の根本精神を掲げてきたが、同じ創立118年目の「正道を歩む」を忘れず「絶えざる革新」を継続してきた会社に買収されるとは、あまりに皮肉な話である。
経営陣が、創業の精神を忘れた時に、何かの歯車が狂いだす。誰も止められない歯車はその規模が大きいほど修正や制御が効かない。苦しい時や新しいことを追求する時こそ、歴史、知恵、慣習を学び大切にしなければならないのだ。

我が社フュージョンは、昨年12月で25年目を迎えている。全社一丸となり、ひたむきに正道を歩み、根本精神を皆で胸に刻んでいる最中である。
入社時に頂いた「FUSION MISSION」小冊子の社員行動指針に、こう書かれている。

抜粋だが、
「知識や経験を惜しみなく伝える人」
「約束を守り最後までやりぬく人」
「相手を思いやり感謝を伝える人」
そして、1番目の指針が「心をこめて人の話を聞く人」である。

この会社がこの先100年経とうが、変えてはいけない行動指針である。

大河が大河であり続ける如く、どんなに会社が変化しようが、その源流には「人のあるべき姿」が流れていると、つくづく感じる。



鎌倉時代の三大随筆「方丈記」も、我々に大切なことを教えてくれるなあ。

知識融合化法認定法人フュージョン株式会社
 東京オフィス長 田辺志保