先月、中3息子の耳が沸いた。耳が沸くとは、柔道、ラグビー、レスリング選手に多く、耳が潰れること。正確には「耳介血腫」という。相手の手や寝技の畳で耳が擦れ、その繰り返しで潰れた軟骨の髄液と血液が内出血して貯まって膨らんだ状態。かなり痛いようだ。
息子は、相手が奥襟を取る手が自分の耳にぶつかるの繰り返しで沸き始めた。腫れても乱取りを続け益々腫れる。耳鼻科で痛さをこらえ注射器で4回ほど血を抜いたが、抜くと腫れは引くが、練習でまた腫れるの繰り返し。結局、血抜きを止め見事な餃子形で固まった。
沸いて固まると元には戻らず、女子選手は引退後に耳の整形手術をする方もいる。音楽を聞くのにヘッドホーンしか使えない人もいる。耳の穴が塞がりイヤーホンが入らないためだ。息子も耳の穴が閉じないよう、沸いている暫くは耳栓で穴を確保していた。
エイジングに対抗する
自動車も、乗り続ければガタは来る。人様も同様で、身体中のあちこちが変化してくる。短期間の酷使でも変形・変化するから、酷使するスポーツ選手や職人さんなどは、身体の部位が変形する。美容師や板前さんの水仕事で荒れた手、サッカー選手の剥がれ爪が再生した足、ペンだこ、ヒール靴からくる外反母趾などきりがない。
当然、万人に訪れるのは老化による変化。私の場合、幸い若い社員からパワーを頂き気力は充実しても、加齢に伴い髪は抜け、シワは増え、体重、嗜好も変わり、物忘れは脳細胞が死滅しているからだ。しかし案ずる事なかれ!心がけと努力で進行を押さえ、改善は可能だ。
先ず、生活環境でも変わると云われている「人相」。悲しい時には寂しい顔になるし、楽しい時には嬉しい顔になる。この時、横のシワは笑顔のシワで、俗に喜ばしい表情シワ。これが刻まれると、穏やかな顔になる。横のシワは穏やかな年輪なので、気にしない。
反対に縦のシワは、嬉しくない表情シワ。厳しい渋面の眉間の縦シワは感心しない。これが年輪とともに刻まれると、気難しい表情の人に思われがちだ。これは絶対刻まないこと。 自分で意識して笑い顔表情を増やすと、渋面の顔つきまで変わるから不思議だ。眉間にシワを寄せるのは、今から禁止して作り笑いで乗り切ることだ。
前職の化粧品会社では、肌改善を命題としたが、老化防止に効果的なのは、保湿とマッサージ。紫外線は言語道断。そして年齢は首に出るので、顔以上に首筋ケアが重要である。
他にも内面的にも好影響を及ぼす、香りのアロマテラピー効果や、社会生活を活性化させるメイクの効果・効用など研究してきた。介護施設のお年寄りが、唇に紅をひくだけで、現役の社会生活を想起して、尿漏れやオシメの回数が減少するのは驚きの事実。
こうした「若さへの回帰」や「自信回復」を促す精神的な「生きる活力」は他にも数えきれない。老いらくの恋、孫との接触、趣味の世界など生きがい全てが若さの源である。
笑顔の価値は250万円なり
岡山の柴田病院が、重篤患者の延命治療として「よしもと新喜劇」に通うのは有名な話だ。自己免疫力の向上作用で、心の底から笑った時に、ナチュラル・キラー細胞(NK細胞)が活性化するからだ。逆に諦めて沈んでいると、NK細胞は減少するといわれる。
米国の研究では、笑顔1回の資産価値は250万円に相当すると云われている。そして子どもは、1日400回笑うのに、大人になると10回前後に激変してしまうのは寂しい限りだ。
NK細胞は「作り笑顔」でも増大する。辛い時こそ縦から横のシワに無理やり変えることだ。取り敢えず口角上げて笑ってみる。口に指一本咥える作り笑顔も効果がある。
若返りには、成長ホルモンの活性化が大切で、まずは「適切な運動」。それからホルモン分泌に必要な「アルギニン」は大豆、魚介、鶏肉など良質なアミノ酸の食事から取りたい。
更に美容やダイエットには、よく噛んで食べることで、耳下線からの唾液に含まれる肌の代謝活性化ホルモン「パロチン」を促す。このホルモンと、代謝が活性化する夜10~11時での深い「睡眠」は肌改善の相乗効果を生むことになる。
健康な身体づくりとは、よく耳にする「当たり前のこと」ばかりである。しかし、その継続が難しいのだ。多忙やストレスが気持ちを挫くからだ。ポーズで結構なので「楽しく笑顔で日々を送るぞ」と口にすることが老化防止の根源である。
友人の医者からの言葉、
「病は気から、大切なのは本人の気持ち。そのまえに、後手の治療より先手の予防!」。
髪が抜け始めた私の言い訳は、「このハゲは、滅びゆく森林でなく、開けゆく大地だ」と笑顔で自分に言い聞かせること。結果、心臓だけには、毛が生えることは実証済みだ。
田辺 志保